AI/AGI/ASI
先週開催されたSoftBank World 2023の、孫正義氏講演をオンラインで視聴しました。抽選に当たり会場視聴も許されていたのですが、急遽、福井にいることになったためです。
AIはAGIとなり、今後10年で全人類の叡智の10倍を超え、20年以内に人間の1万倍優れたASIが生まれるとのこと。GはGeneral、SはSuperですが、現在まで、普通のAI (Artificial Intelligence) ですら普段あまり活用していない自覚がある私は、強制的な使用を自分に課すため、孫氏の話を聞きながら、その場でChatGPT4へアップグレード(有料会員化)しました。もっとも、孫氏はChatGPTを自身のブレストの相手とすることはもう卒業しており、最近はアバターのChatGPT同士を対話させ、自身は判定役にまわっているとのことでしたが。
【参照】 AGI(汎用人工知能)とは?
月3,000円支払うので
毎月20米ドルを支払うなら、何かに毎日活用しないわけにはいきません。ということで、毎週のこの原稿をChatGPT4と相談しながら書くことにしました。前回末尾の余談からの続きで、「地域コミュニティの運営をある高校が代々受け継ぎ担っていくとしたら」ということについて考えていきます。マンションの自治会役員に女子中学生が就任しているところもあるようですし、やれないことはないだろうと想像します。
【参照】 女子中学生がマンション自治会役員に就任
地域のお悩みを聞き出す方法
手始めに、ChatGPT4に「高校生が、近所に住む人たちと地域共同体を組み、地域のお悩みを聞いて解決するとしたら、どんな聞き方がありますか。また、どんな悩みを相談されることが予想されるでしょうか」と聞いてみたところ、前半について、次の5つの方法が提案されました。(紙もしくはデジタルツールを使っての)アンケート調査、(特定のテーマを深く掘り下げる)フォーカスグループ、(自由に意見や悩みを共有する)オープンミーティング、(直接聞きに行く)家庭訪問、(それぞれ異なる立場の人への)インタビューです。この中で順番を付けるなら、私はまずはオープンミーティングから入ることを勧めたいと思います。
とはいえ、「全く自由・オープン」というわけにもいかないでしょう。ある程度、どんな声が聞かれそうかを予想し、そこで実際に多く挙がった声に対して、より深掘りできるような準備を、高校生が事前にしておくことが必要です。
予想される地域の悩み
そこで、どんな声・要望・不満・困りごとが挙がりそうか予想を聞いてみたわけですが、それに対してChatGPT4が列挙したのは7つでした。
- 道路の劣化、公共交通の不便、施設の老朽化などの「インフラ問題」
- 犯罪の懸念、交通安全、夜間の照明不足などの「安全問題」
- シャッター街化、イベント減少、若者流出などの「活性化問題」
- ゴミの不法投棄、河川の汚染、緑化不足などの「環境問題」
- 近所付き合いの減少、孤立などの「コミュニケーション問題」
- 対高齢者の日常生活支援、子育て支援などの「生活サポート」
- 伝統文化や歴史的建築物の保存など「文化・歴史の継承問題」
回答は一瞬で返ってきました。私が一人ブレストで考え付くより圧倒的に早いです。しかも、一人で思い付くよりも幅広い問題をカバーしています。なおかつ整理も上手い。私の思い付きは順不同で出てきます。それらを後からグルーピングし、それぞれに相応しいタイトル、すなわち「何々問題」を付けねばなりません。それらの不便は一瞬にして既に解決されています。そうなると、やることは各問題の中の事例を付け足したり、他に問題群はないかを考えたりすることになります。抜け漏れチェックです。他の問題群としては「健康・医療問題」があるかなぁと考えたり、生活サポートには移動の際の交通手段のことや買い物支援などがあるかなぁなどと考えたりする余裕が生まれます。
既に列挙されていることがヒントになっているのですから、私は助成想起をしているに過ぎず、純粋想起に比べたら産みの苦しみは格段に減っています。
会場準備とシナリオ作成
AIとのブレストが済めば、これらのインプットを元におよそのシナリオを作成した上で、地域の方々とのオープンミーティングに臨みます。各自治会の役員の方に頼んで協力してもらうなどし、自治会の定期ミーティングで少し時間をいただいたり、学校の文化祭に地域の方々を招いたり、他にも方法を考えながら対面でオープンな話し合いができる機会を探ります。いきなり大々的な催しを計画しても、住民の方々が尻込みして参加を見合わせてしまうかもしれません。最初は、何かの行事がある際に、そこに便乗する形での開催を検討するのがよいでしょう。
シナリオ(ディスカッションガイド)の作成例については、下記バックナンバーをご覧ください。
地域の困りごとが見えてきたら
オープンミーティングで有益な話を聞くことができたら、早速、それらに対するアクションを考えます。自分たちで解決できそうなことがたくさんあるなら、対処のスピードも意識しましょう。それぞれの生徒が興味を持つことを中心に役割分担をすれば、同時進行での解決も望めます。
一方、明らかに解決に時間がかかりそうな課題が見つかったなら、それこそが探究テーマになります。
なぜ時間がかかりそうか。それには多くの要因が絡むでしょう。住民同士で意見の対立が見られ、どちらの立場にも一理あって簡単に一方を選べない。地域の住民の意見はまとまっているが、解決には外部組織との交渉が必要で、それがこれまで進んでいない、等々。まずは問題の構造、そこに至るまでの経緯や背景などを理解した上で、議論の仲間に入れてもらえるように働きかけていきます。若者の受け入れに積極的な自治会や、ある特定のテーマについて若者の意見を聞きたいとする自治会は少なくありません。まずは、活躍の場がありそうなところを探してみましょう。
10歳からわかる「まとめ」
・AIとの対話は、考えるためのヒントをもらうのには、現状でも適していると感じる
・AIのアウトプットは、ある程度、整理された形で提示されるので、それを見ながら考えを広げたり深めたりできる
・AIブレストを通して、催事企画の予行や予習をしよう
・地域コミュニティの運営に関わるにあたっては、若者の受け入れに積極的な自治会を探すところから入ろう
以下、余談です。
地域コミュニティの中で生活すること
私の周りを見回す限り、最近の自治会には引退した方々が中心となって運営されているところも多いようです。自然災害も増えている昨今、いざ共助が求められる際に、体力に余裕があり「動ける」若者の参加を歓迎するところは少なくないでしょう。自身が属する町内会や自治会がそのような状況であれば積極的に関わってみてはどうでしょう。高校生が自主的に関わることによって、その親に当たる現役世代も自然と関わりが増え、自治会運営が、より健全で自然な状態に回帰することが期待できるように感じます。
ジャートム株式会社 代表取締役
学校・企業・自治体、あらゆる人と組織の探究実践をサポート。
Inquiring Mind Saves the Planet. 探究心が地球を救う。